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情熱のかけらの記録

フルバランス型ヘッドホンアンプ(THS4631+OPA627/BUF634)

(シングルエンド入出力対応)2018年7月製作(完成)~備忘録~

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オペアンプを使ったフルバランスにもなるヘッドホンアンプです。アンバランス(シングルエンド)入出力もスイッチで切り替えることが出来ます。

上流の音源にTEAC UD-503(DAC/HPA)を入手してから、いつかはバランス入出力のヘッドホンアンプを作ろうと考えていて、やっと製作したものです。ディスクリートで組むのは設計製作の難易度も高く面倒そうなので、オペアンプをソケットで使うようにしました。今時のアンプなのでオペアンプを取り替えて音の違いも楽しめます。

ヘッドホンアンプやパワーアンプ真空管式のものを好んで自作していたのですが、昨年製作した真空管ラインアンプで、ケースの余裕部分に小さめの基板2階建てでオペアンプ式ヘッドホンアンプを追加してみたら、その音が思ったより良かったのでバランス型アンプもオペアンプでいいんじゃね?ということでオペアンプ利用にしました。

オペアンプの組合せによってはディスクリートのヘッドホンアンプに優るとも劣らない音質になるようで結構満足しています。UD-503の内蔵ヘッドホンアンプやGraham Slee Soloのディスクリート構成ヘッドホンアンプよりいいんじゃね?というくらいなのですよ(笑)


[ 回路図1 ] [ 回路図2 ] [ 電源回路 ] [ 実態配線 ] [ レイアウト ]
※いずれもPDFファイルです。

回路概要
XLRコネクタによるバランス入力、またはRCAジャックのアンバランス入力とも、オペアンプによる入力バッファ(またはバランス変換回路)を経てから、いずれか選択されたバランス信号を4連ボリュームで音量調整してオペアンプで差動増幅する回路です。アクティブDCサーボも組み込んでありますので、DCオフセットも押さえ込んで安全性も高いかと思います。回路自体は単純で特に凝った工夫はないのですが、回路定数やGNDの引き回し等注意して製作しています。

アンプのゲインは2.94倍(+9.38dB)にしています。使用するヘッドホンの能率やインピーダンスによって使い勝手が異なるので一概に何倍が良いとはいえないのですが、手持ちヘッドホンで最も鳴らしにくいのは Beyerdynamic DT990 Pro (250Ω) や AKG K601, K702 で、最も鳴らしやすいのは能率の高い YAMAHA HPH-PRO500 です。

他にも AKG K240 Studio や K272HD、Sennheiser HD598、SHURE SRH840、JVC HA-MX10-B 等があり、とりあえずは鳴らしにくいヘッドホンをボリューム位置で3時より前で使いたかったのです。この倍率だとK601, K702やDT990でも1時のボリューム位置程度までで使えます。その他の K240 や HD598 なら10時位置程度まで、ただし、HPH-PRO500では使いにくい程にゲインが高すぎます。

製作ではゲイン2倍でも試しているのですが、DT990 Pro では2時半~3時程度までボリュームを開ける使い方になり、フィードバック抵抗を変更して少しゲインを上げました。ちなみに、STAXイヤースピーカー用の真空管ドライバも自作しているのですが、11時~12時程度で使えるようなゲイン設計にしています。STAX純正の真空管式ドライバ(SRM-007tやSRM-006t)では12時~1時程度が聴取ボリューム位置でした。自作の真空管式トランス出力のヘッドホンアンプでも11時~2時程度のものがほとんどです。

上流の音源はPC(USB/光/同軸)またはCDPからの光/同軸デジタル接続のDACなのですが、TEAC UD-503はアナログ出力を2.0Vrmsと4.0Vrms(+6dB)に切り替えることができます。別の ES9016 を使ったDACでは出力3.0Vrms、それ以外にも出力2.0VrmsのDACがあり、これらのいずれかを自作のオーディオセレクタで入力切替して使えるようにしてあります(バランス入力だけはUD-503直結)。入力信号の強度がいろいろあり、ヘッドホンの能率もまちまちなので、全てにうまくマッチするゲイン設計は難しいのです。現在の増幅倍率で HPH-PRO500 以外はほぼ使い勝手は悪くはないのですが、HPH-PRO500 だけはデジタルボリュームのUD-503に繋いでいます。

余談ですが、UD-503内蔵のヘッドホンアンプでは、バランス出力の場合にアクティブコントロールグランドという方式を選択できます(通常のバランス出力も選択できる)。アクティブグランド式は理論的にバランス(BTL)出力の半分の出力(-6dB)になるのですが、特許情報を見ると制御回路でバランス出力を-6dB調整して比較試聴用に音圧を合わせるようなことが書かれています。実際に試してみるとアクティブグランド出力の場合とバランス出力の場合で確かに出力音圧が同じ程度に聴こえます。アクティブコントロールグランドの場合は静謐感があってとてもいい音なのです。UD-503のヘッドホンアンプをバランス接続で使うときは、専らアクティブグランド式で聴いています。

出力バッファを切替可能
このアンプの製作では、少し興味があって出力バッファをデュアルタイプのオペアンプ、またはBUF634Pを内部のジャンパソケット差し替えで変更できるギミックを回路に組み込んであります。また、オペアンプを使う場合もドライブ能力(電流容量)を得るためにHOT/COLD別に2個パラにしています。BUF634Pを使う回路ではHOT/COLD毎に1個ずつです。

BUF634を出力バッファに使う構成では、Wide Bandwidth ModeをVEE直結(フルスイング)と150Ωの抵抗で少し電流を下げる設定(5mA程度差が出る)をジャンパで変更できるようにしています。WB Fullでは元気が良すぎるようで、少し落ち着き感(上品さ?)が出る150Ω抵抗を挟んだ音の方が好みです。いずれにしても、BUF634を使うとドライブ能力の高さから出力がとれるため、OPA627等のオペアンプの出力バッファより音量が若干大きくなるようです。

電源回路
電源は2次側15V/1A出力2系統のトロイダルトランスを使った正負電源生成です。2次側15V出力をそれぞれショットキダイオードでブリッジ整流してLM317/337で定電圧化し、ショットキダイオードで結合して±15Vを供給しますので、正負電源それぞれ電圧を合わせるように半固定抵抗器(トリマポテンショ)で調整が必要です。

また、サイレントミュート回路用に+15Vから12Vの単電源も別途レギュレータで取り出しています。これはミュート回路で使っているリレーが12V標準のもので、15Vまではなんとか動作するので15Vのままでもいいのですが、長期安定のために無駄に高電圧にしないようにしています。なお、電源トランスの出力は余裕のあるものですが、ケースの大きさもあり左右共通にしているので、電源やGNDも左右分離するなどして、もっとよい実装にもできるかもしれません。ただしシングルエンド入出力にも対応した回路にしているので、きれいなGND分離は難しいのです。

シングルエンド入出力
シングルエンド入力はDRV134でバランス化しています。実は、当初バランス変換もオペアンプと小さめの別基板で回路を組んで製作しました。オペアンプにはMUSES 8920Dを2個使ってアンプ完成後に音出し比較したのですが、DRV134の方が音が良いように感じて自作のバランス変換基板はお蔵入りとなりました。

なお、シングルエンド→バランス変換ではDRV134の出力(音響パワー)が2倍増幅相当になるため、バランス入力と音量が揃うように入力を分圧して-6dB(電圧比1/2)でアッテネートしてみました。

こうすることでバランス入力からシングルエンド入力に切り替えても聴取ボリューム位置がほぼ同じになります。要するに原音増幅なしに差動(バランス)増幅部に入力したいわけです。ちょっと無理矢理感もあるし音質的にもどうかとは思いましたが、アッテネート無しよりほんの少し詰まった感じがするかな?程度の印象で、それほど音質が悪化しているとも思えなかったので、簡単さと使い勝手優先でこれでよしとしています(出力増幅が1倍のバランス変換回路を自作すればすっきりするかもしれませんね。そのうち実験してみたいと思います)。

シングルエンド出力を選択した場合は、バランス出力をINA2134PAで変換しています。オペアンプを使って丁寧な変換をしていますので、音質も良くDC漏れ等のリスクもほとんどないようになっています。

[ DRV134 ] [ INA2134 ]

サイレントミュート回路
電源のON/OFFを検知してミュートとヘッドホン出力接続をするミューティング回路が組み込まれています。このアンプを作るだいぶ前に「トランジスタ技術」の記事で読んだ「凄腕センパイのアナログ回路設計ノート」の記事で紹介されていたサイレントミュート回路なんですが、いつか使ってみようと思っていたものです。

最初は自作するつもりでネットショップでパーツを物色していたのですが、なんと完成キットがあるのを発見して!(マルツですな)、それもコンパクトに出来ているのでパーツを集めて製作するより簡単と採用した次第なのです。このアンプではキットを左右で2つ使っています。ですから実装はすごく簡単!それでいて動作は完璧!電源ON/OFFでのポップノイズは皆無ですし、出力を切り離すミューティング方式で使っているので、電源スイッチングやDC漏れなどでヘッドホンを壊すリスクも低いのです。
 
バランス出力端子
このアンプ製作前に手持ちのヘッドホンを全てバランス対応の改造&リケーブルをしたのですが、ヘッドホンとの接続をどのようなコネクタ形式にするかいろいろ検討しました。結果、Mini XLRの4極(4 POLE)式に決めてケーブルコネクタや変換ケーブルを作成してしまっていましたので、必然的にこのアンプのバランス出力コネクタはMini XLRの4極オス(小型丸形シャーシ取付型)なのです。

一般的な(よく売れているような)バランス出力の製品を見ると、標準XLRの4極メス型やフォーンジャック2組、4極ジャック型のものが多いようで、Mini XLRの4極オスはマイクロフォン端子様で少々イレギュラーです。しかし、シャーシ取付型のMini XLRが小型で格好いいのでした。

(追記)
JEITAで規格化された4.4mm 5極プラグ/ジャックですが、入手性や単価に難があり、現状で自作では問題外と考えてました。実際各メーカーでの採用状況を見ても国内外で統一規格になっているようには見えません(ソニーくらい?)。何故Mini XLR 4 Pole(あるいはXLR 4 Pole)で規格統一されないか不思議なのですが、コネクタのロック機構がコンシューマ用途では安全性に影響すると考えているのでしょうか。小型のポータブルアンプでもMini XLRなら十分実装できると思うんですけどね。ケーブルコネクタの製作容易性や接触抵抗等電気的特性でもXLRタイプが断然有利と思い、個人的な趣味の機器製作なので Mini XLR 4 Pole を選んでいるわけです。
f:id:unison3:20181226234054j:plainレセプタクル(コネクタ)には標準またはMiniのXLR(3極で2個または4~5極で1個)、フォーンジャック(2極や3極で2個、または4極や5極で1個、合わせるプラグ径も2.5mm, 3.5mm, 4.4mm, 6.3mmと4種類)、その他にもDINコネクタ等いろいろ使えるのですが、Mini XLR(4極)が私的にはお勧めなのです。コネクタ自体も小型でケーブルとのバランスも良く、4極ですがコネクタ自体にGND接続端子もあり、ハウジングのGND接続やケーブルのシールドもGND接続できます。

バランス型結線にしたヘッドホンドライバにはGNDは不要になりますので、無駄に5極にする必要はないですね。ちなみに、Mini XLR(オス)コネクタはITT MINI-XLシリーズレセプタクル(M-XL-4-14)です。このコネクタはシャーシ取付型でGND接続はシャーシ接触部からとるようになっています。ですからシャーシケースがGNDに接続されていないとコネクタハウジングのGND(通常はシールド網に接続)がとれないことに注意が必要です(コネクタハウジングのGND接続は意味があります)。

f:id:unison3:20181226234135j:plainヘッドホン側は安価でも造りのよいREAN RT4MC-B/RT4FC-Bで統一してあります。TEAC UD-503 でのバランス出力は、ステレオフォーンプラグを左右で2つ使うのですが、REAN RT4MC-B(ケーブル側接続)とステレオフォン2本を出した(UD-503接続側)の変換ケーブルを作って接続しています。ステレオミニプラグ(3極)とREAN RT4MC-Bの変換ケーブルもいくつか製作しましたので、アンバランスでのヘッドホン接続もこれをアタッチすればいいだけなのです。

ヘッドホンケーブルは4芯シールドの「MOGAMI 2893 Neglex "Quad" Mini マイクケーブル」を使っています。値段の割にケーブルの作りも音質も素晴らしく、ケーブル外径4.8mmと細めで柔らかいのでヘッドホン用には取り回しもいいと思います。

オペアンプ構成
以前に製作した(シングルエンド)ヘッドホンアンプの音が良く、そのときのオペアンプの組合せで使うことを決めていました。バランス増幅部のドライバは THS4631 で、このオペアンプを使いたいためにオペアンプ式にしたといってもいいくらい惚れ込んでいるのです。出力バッファにはOPA627をデュアル化したもの1択です。その他のオペアンプでは、THS4631との組合せではかないませんでした。LT1469もかなり良かったのですが、結局入力バッファに使っています(LT1469-2ならもっと良いかも)。

現在は、THS4631を4個(デュアル化2個)とOPA627auを8個(デュアル化4個)、LT1469を2個、OPA2604を2個、それにアンバランス入出力用にDRV134を2個、INA2134を1個の構成になっています。心配したTHS4631の発振もなく素晴らしい音を出します。

f:id:unison3:20181226234455j:plainBUF634Pも4個刺してありますが、使わないときは電源コネクタを外してあります。BUF634を使うときはOPA627を取り外しておけば無駄に電流が流れません。BUF634を出力バッファに使った場合ですが、HOT/COLDで各1つだけなのですが侮れない音質です。製作後比較試聴してしばらくBUF634を使っていたのですが、さすがにドライブ力があり元気な音がします。それでいて艶っぽさもあるようで、これはこれでいいかもしれないと思わせますが、上質さではOPA627でしょうか。

オペアンプの発熱と常用電圧
THS4631とBUF634は発熱があるオペアンプなので、少し電圧を変えて温度をチェックしました。BUF634 (WBは150Ω付) はPDIPタイプなのですが、±15Vでも心配するほど熱くならないようでした。THS4631 は ±15V では周囲温度(室温)+30℃以上になるようです。±14.5V以下にすると+25℃程度以上まで下がるようでした。30分程度の運転測定で長時間ではないし、ケースオープン状態で温度センサーを使った手作業での測定のため精密ではありませんが、念のためTHS4631とBUF634には小型のヒートシンクを貼り付けてあります。現状 (室温28℃程度/夏の室内) で5時間以上の連続運転でも全く問題なく動作しています。

f:id:unison3:20181226234302j:plain使っているTHS4631はDDAタイプSOICで放熱パッドがあるものです。これを放熱パッド付のDIP化基板に付けてハンダで熱結合し、変換基板でデュアル化したものを使っています。デュアル変換基盤は2個並列型で表面実装コンデンサ0.1μFも付けています。実はDDAタイプを両面実装してDIP化したTHS4631も試しに購入して刺してみたのですが、放熱パッドなしの両面型変換基板では発熱がかなりあり(排熱が悪い)、ヒートシンクも片面しか付けられませんので使っていません。

THS4631のFree Air時の推奨運用温度は85℃以下(Free Air時 MAX125℃、Package上限150℃)ですが 65℃以上になると少し心配になります。結局、THS4631の発熱を考慮して、現在は ±14.55V に電圧を下げて使っています。ただしこの電圧は12Vレギュレータにも取り出しているため、あまり下げられないのですね(LDOタイプではない一般的な7812を使ったためレギュレーションのために入出力電圧差を確保したい)。

アクティブDCサーボのオペアンプ
DCサーボのオペアンプで音質がかなり変わります。このことは先に製作した真空管ラインアンプ組み込みのヘッドホンアンプで実感したのですが、このアンプでは何が合うか手持ちのオペアンプを少し差し替えて比べてみました。一般によく使われるFET入力のOPA2134, OPA2604, OPA827(シングル)やバイポーラタイプでも低オフセット電圧のOPA2277, 他にMUSES 8920Dです。

f:id:unison3:20181226234511j:plainOPA2277は低オフセットでよく推奨もされるようですが、これはやや曇った感じであまり音が良くない印象。OPA2134は悪くはないのですが面白くもない。ドライバや出力バッファの音質の邪魔をしない自然な感じです。OPA2604はOPA2134と似た感じですが、より音場感豊かな響きになり結構いい音だと思いました。また、DCオフセットの押さえ込みが優秀という情報もありました。MUSES 8920Dは繊細な綺麗な音になりますね。これもいい音だと思いましたが曲によっては煌びやかでうるさく聞こえることもあります。OPA827は分解能や音場感があり艶っぽい音も出てくるようで一番好みでした。ただ手持ちのOPA827は他のDACのLPFで使っているものを外して比較したため、現在はDCサーボ本来の目的に一番合うだろうと思われるOPA2604を使っています。

抵抗とコンデンサ
このアンプの電源部以外で使っている抵抗は、DALE RN55D(一部RN60D)で統一しています。また手持ち本数に余裕があるものは抵抗値を計って選別しました。1%誤差抵抗ですし真空管アンプ他の製作でも好んでDALE製抵抗を使っていましたので、特に理由がある訳ではなく単に好みです。クリアで解像感のあるいい音と思いますし、ショップによってはお安く買えるのです。

フィルムコンデンサは小型で比較的音質が良いと思っているWIMAを多用しています。今回はユニバーサル基板の手配線で、抵抗も1/4Wや1/2W(MIL規格では1/8W, 1/4W)サイズですので、小さいコンデンサの方がバランスよく製作が楽ですね。電源配線には20AWGの耐熱電線、回路部はMIL規格22AWGの銀メッキテフロン線、入力端子からの配線は残り少なかった貴重な2芯同軸のPCOCCケーブルを使ってみました。

ケースとシャーシ
f:id:unison3:20181226234152j:plainタカチのSL70-26-23BS (26x23x7cm)をケースに使っているのですが、底板だけでは気持ち悪いので、1mm厚アルミ板をシャーシとしてスペーサで底板に取付けてケースと導通するようにしてあります。シャーシアースとなるフレームグランド(FG)はこのアルミ版シャーシに立ラグを使って1点接続されています。FGにはAC電源のアース線と正負電源生成直後のGNDを落としています。ですからこのアンプでは電源部直後のFG接続ポイントでGNDラインが左右共通になっています。

電源GNDや左右回路GNDはできるだけ分離しているのですが、アンバランス出力でのフォーンジャックは3極(左右GND共通)ですし、キットのバランス変換基板やアンバランス変換基板は左右回路GNDや電源GNDが共通になっていたので、どこかでGNDが繋がってしまいます。結局GNDループだけはしないように気を付けて配線しました。このやり方でGNDに起因するようなノイズはありませんし、入出力切替時にもノイズはありません。音にも満足しているので、まぁいいか...です。

このアンプの音質
バランス入出力で聴くと、とてもクリアな音質で解像感も高く感じます。オペアンプで作ったアンプは、中低域に濁りが残るとかディスクリートよりも音の厚みが足りないとか言う人もいますが、このアンプの原音を損なうことなくクリアで、それでいて音場感や程よい厚みがある音も魅力的です。

現在のオペアンプの組合せでは、THS4631の音質が支配的なのか OPA627またはBUF634のいずれの出力バッファでも音質が似ていて、低域の量感や質感、高域の伸びと鮮鋭感、中域の押し出し感とも不満はありません。音源によってはUD-503内蔵のヘッドホンアンプが中高域の解像感でやや暖色と思える程です。

また、このアンプは電源ON後しばらくして(20~30分程で)暖まってくると音が良くなってくるように感じます。真空管アンプではないので少し不思議なんですが、電源やDCサーボが安定してくるのか THS4631 がなかなか目覚めないのか、よくわからないですね(笑)

f:id:unison3:20181226234115j:plainシングルエンド入力からバランス出力またはシングルエンド出力、あるいはバランス入力からシングルエンド出力ですと、余分な変換回路が入るためか少しパンチ力というか音のかたまり感が出てきて、これはこれで悪くないのですが、フルバランス入出力の繊細な響きや分解能、セパレーションの良さが上質に感じます。ただし、現在の手持ちヘッドホンやケーブルは全てバランス対応になっているので、シングルエンド出力でも少しはセパレーション等の恩恵があります。

今時のアンプということで差し替え可能なオペアンプ式なのですが、回路構成や使用するオペアンプの組合せで、侮れない音質になるのだなと実感しました。