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情熱のかけらの記録

毛鉤ケース製作

(毛鉤ケース製作) 2024年2月製作~備忘録~

乱雑に仕舞っていた収納(物入れ)が荷崩れして片づけていたら、以前に購入して使い残したり未使用だったりの工作材が結構ありました。暇だし勿体ないので「何か作れないかな?」と思案して毛鉤ケースを製作してみました。

若い頃(30年以上前)にも工作材で毛鉤ケースを幾つか製作していたのですが、今残っているのは一つだけで、他は落としたりして傷めてしまい焼却炉に旅立っていきました。元々、毛鉤ケースに特に拘りとかはなかったので、プラケースやお安い市販のものを併用していました。フィッシングベストのポケットに入る大きさで、毛鉤が壊れないように収納・持ち出しできれば良しとしていました。

出てきた工作材は栓や檜、桐、松系の角材や板材で、桐材は将棋の卓上盤用に献上箱を製作した残り、その他はコーヒー用のドリップスタンドやキャニスター入れ他の思いつき製作で買い集めた材料でした。しかし、毛鉤ケースの出来上がりを想定してみると、木材の厚みや板材の大きさから使える物は意外に少ないようで、簡単な設計図を書いてみて、不足分をまたまた購入する羽目になりました。


(卓上将棋盤(2寸)の献上箱。買えば1万円以上するので自作してみました)

足りない材は近隣のホームセンターで購入しました。木材・資材売り場には、銘木といわれる黒檀(エボニー)やローズウッド、ウォールナット、チーク、オークにメイプル、ブビンガ等の板材(厚みが20~25mm程のカット材)もあって、「トリマーで刳り抜いたりしたらカッコいいかもね!」とか思いましたが、黒檀とかは材自体がかなり重いですから用途的にどうなの?という感じでした。

毛鉤ケース3種

今回製作した3つの毛鉤ケースはデザインもそれぞれ変えました。用途重視というより「こんなのどうかな?」といった興味本位で実験的ですね。出来上がりの理想は厚みが35mm程度でポケットに入る大きさでしたが、ヒンジ付けを考えて設計したら35mm以上の厚さになってしまったものもあります。それでも何とか40mm以下に収まりましたので「まぁいいか~」です。


(簡単設計図面 - 毛鉤ケースA / B / C 順)

毛鉤ケース A

深さ14mmの箱を2つ合わせたケースです。天板と底板はケースを薄くするために3mm厚のアガチス板を使いました。上下2つの収納部分がありますので、そこそこの数の毛鉤を納めることが出来ます。

フック固定用フォームに使用したのは、ダイソー仕入れた「戸当たりの防音テープ」(長さ約2m×幅約15mm×厚さ5mm)です。材質がEVA樹脂のため、NRスポンジゴムや発泡ウレタンゴムよりも硬質で、耐久性・密度(弾性)もあります。カッターやハサミで簡単に切れるので加工性も良いですね。この防音テープを幅12mmに少し細くカットし、約7mmの切り込みをいれてケース幅のフォームとしています。フォームの貼り付けはケース直ではなく、両面コーティングの厚紙に透明フィルムシートを貼った台紙を使っています。当初は厚さ2mmのコルクシートをカットしてみましたが、深さ14mmに2mmでは厚いように思えたのと、茶系ハックルの毛鉤が見にくいので白い台紙を使いました。このケースは厚みが34mmで丁度いいサイズになりました。


毛鉤ケース B

毛鉤の固定収納面は一つ(左右で2つ)ですが、中央に小さ目のボックスを二つ置いたケースです。何となく思いついたデザインで、使いやすいかどうかわかりませんな(笑)。

フック固定フォームの貼り付け部分は高さ18.5mm程(切断誤差ですな)で若干深いので、厚さ5mmのコルクボードを下敷きにして底上げしています。中央のボックス部分は厚さ3mmのアガチス材を使い、深さ23mmで底面には厚さ1mmのコルクシートを貼りました。フック固定フォームは、毛鉤ケースAと同じ防音テープです。また、蓋裏にマグネットシートを貼り付けたので若干重い蓋になりました。このケースは設計上は厚みが36mmですが、天板と底板を研磨して出来上がり35mm程の厚みになりました。


毛鉤ケース C

フック固定フォームを使わない、単純な間仕切りタイプの毛鉤ケースです。当初設計では蓋は6mmの一枚板でした。切り出しと組み立て、研磨まで済ませたのですが、心配していたとおりヒンジの釘(10mm)が長くて天板を突き出します。釘を短くカットして打ってみましたがヒンジの固定が弱く長持ちしそうにありません。M1.5の8mm木ネジ(皿頭)もあったのですが真鍮製ヒンジのネジ穴が1.2mmですので拡張しないと入らない。「やっぱり一枚板は無理かぁ~」となって蓋を作り直し。5×5mm角材を使って枠を付けました。昔作った毛鉤ケースでは5mmの一枚板に釘でヒンジを付けているのですが今でもしっかり固定されています。どうやって付けたのでしょうね?(自分で作っていて忘れてますな)

間仕切りも枠材と同じ6×24mmのものを使い、部材3つに切り欠きを入れて6つの部屋に組みました。切り欠きの精度の問題で設計通り全部同じ幅にならず、真ん中の部分が若干小さいです。素人工作ですから「まぁいいか~」ですな。ボックス底面には厚さ1mmのコルクシートを貼りました。また蓋裏には毛鉤ケースAで断念した厚さ2mmのコルクシートを貼って格好付けました。このケースは蓋の枠を追加したため設計上は41mmの厚さでしたが、天板、底板を研磨して出来上がりは約40mmのサイズになりました。蓋に枠を付けるなら天板と底板は3mmの薄い材でよかったですね(それなら出来上がりで35~37mmになりました)。やや分厚いケースになりましたが、実はこのタイプの毛鉤ケースが欲しかったのです。


(当初の天板一枚板で研磨完了した状態。結局蓋は作り直しました)


塗装工程 ~何度やっても塗装は難しい~

毛鉤ケースのような小箱は部材の切り出しをある程度精密にやっておけば、研磨もし易いので角や面をピッタリ合わせることができます。ただし、接着にはクランプ等を使ってしっかり合わせて強く接着する辛抱強さが必要ですね。ちなみに厚さ3mmまでのアガチス板材等はカッターで切った方が鋸(ジグソーや丸鋸)よりも正確に綺麗に切断できます。

製作では、部材切り出し~切断面研磨~組み立て(接着)~角面研磨~塗装(油性ニスと工芸うるし塗り)~ヒンジとボックスラッチ取り付け~油性ラッカー塗装の工程になりましたが、塗装が一番難しくて時間がかかります。塗料の使い残りがいろいろありましたので、今回は手持ちの油性ニスと工芸うるしを使いましたが、塗装工程は約2週間かかりました(箱自体の製作は2日程度)。

今回の塗装では工芸うるしの鎌倉赤で下塗り~中塗りし、上塗りに鎌倉赤に黒を混ぜた焦げ茶色を使い、濡らして絞ったタオルで磨いて下地の赤をぼかし出し、仕上げにクリア色の工芸うるしを塗ることを考えていました。過去に自作スピーカーの塗装でカシューを使って似たようなことをやって失敗しているのでリベンジでした。結局、アンティーク調っぽくはなりましたが、「何だかなぁ~?」な出来で今回も断念したのでした!(泣)

木地固めと下塗り~中塗り

サンディングシーラーとかはありませんでしたので、油性ニス(チーク色)を使って木地固めに内側、外側と2回に分けて塗装。乾燥後400番ペーパーで軽く磨いて、再度油性ニスを塗りペーパーで磨きました。ケース3つをまとめて塗装していますが、屋内乾燥させているのでシンナー臭いし、既にこの時点で「めんどくせ~」状態です。ニス塗りは木地固めですので磨いて色ムラが出ても表面が平滑になっていればよしですな。

下塗りと中塗りで鎌倉赤を2回塗りました。完全に乾燥後に湿ったタオルで軽く磨いて表面をツルツルにしておきます。ここまで何日もかかっていますので、さらに「めんどくせ~」状態ですな。ただ工芸うるしはさほど臭くはないですね。

上塗り~仕上げ塗り

工芸うるしの鎌倉赤の残りに黒色を混ぜて、程良い焦げ茶色を作り上塗りしました。乾燥後に湿ったタオルで軽く磨いて、ぼかし出しにトライしましたが、上記のとおり撃沈して茶色で全面塗装。その後、塗装と磨きを3~4回繰り返して、上塗り~仕上げ塗りとしました。内側、外側と2回に分けて塗装~乾燥してますし塗りむらの修復で塗り直しもあり、もうエンドレスな作業になってきて「超めんどくせ~」状態です。角のぼかしを僅かに残してアンティークっぽいところが少しはあるのですが中途半端な感じですね。

ヒンジ(蝶番)とボックスラッチ取り付け

ヒンジは幅18mmの小型のもので釘打ちで固定。ヒンジ取り付けではケースに折りたたみ幅の2mm程度の切り欠きを付けておきました。取り付けは正確にしないと蓋がケース枠と合わなくなりますので、慎重に位置合わせが必要ですね。ボックスラッチ(トグルラッチ)は”ドイツ下り"でも良かったのですが、アンティーク調のものがあったので使ってみました。元々釘打ち固定用で釘が付属していたのですが、釘穴を拡張して木ネジ止めにしています。ボックスラッチの取り付け自体はヒンジよりも簡単ですね。

 

油性ラッカースプレーとコンパウンド磨き

工芸うるしは水性ですので、防水と塗膜保護を兼ねて油性ラッカーを吹き付け、1回目は1000番で軽く水研ぎ。2回目と3回目は薄く吹きつけた後にコンパウンドで軽く磨いて完成としました。少し塗装のアラがあるのですが、外表はツルピカになったので「めんどくせ~」から打ち切りました。今回の塗装は油性ニス~水性工芸うるし~油性ラッカーと水性・油性を交互に使っています。

出来上がりはまずまず?!

そこはかとなく素人工作の雰囲気があって微笑ましい仕上がりですね。お安い工作材の陳腐さを隠す工芸うるしの全面塗りですから、素材のチープさがあまりわかりません(笑)。フック固定フォームの切断や切り込みが揃ってなかったりの出来を見れば明らかに手作り感満載ですが、そこは「自作ですから!」と胸を張りたいと思います(笑)。久しぶりの毛鉤ケース製作で仕上がりはイマイチなところがありますが、それでも実用性がありそうなので活用したいと思っています。とりあえずは思惑どおり3種類のケースが完成しましたので「めでたし、めでたし」でした。

 
(参考:フック固定フォームに使った防音テープ)