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情熱のかけらの記録

スピーカー修理&改造(その3)~「ARCAM DELTA 2」

(スピーカー「ARCAM DELTA 2」修理&改造)2020年1月製作(完成)~備忘録~

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このスピーカーは修理というより、改造ベースにエンクロージャを入手して製作したものです。オークションで見つけたもので、ウーファーは左右付いていましたが、片方はエッジが完全に剥がれて、ツイーターは左右とも取り外されて付いていなかったりで、エンクロージャを利用したい人向けのものでした。エンクロージャ自体は大きな傷もなく突き板仕様で仕上げも良く、サランネットも左右とも破れもなく綺麗でしたので、試しにポチったらさほど競合もなく落札してしまったものでした。(入手した個体は筐体背面にも突き板が貼られていますが、背面が突き板仕様ではないものもあるようですね)

クロスオーバーネットワークは付いたままでしたので、ウーファーエッジを補修しツイーターを新規に購入して、ネットワークと共に組み直しました。ウーファーはゴムエッジで製造から大分経過していると思い、不動や出音がダメなら新規に何か調達しようと考えていたのですが、簡単な補修で問題なく鳴ってくれました。お安くお手軽に出来上がったスピーカーですが、予想以上の高音質でとても気に入っているのです。


「ARCAM DELTA 2」修理&改造編

このスピーカーの発売は30年程前(1990年頃)らしいです。ARCAMの製品はいろいろ雑誌で見ていたのですが、このスピーカーはあまり記憶にありませんでした。WEBで調べてみると日本では1台78,000円だったようですね。突き板はややダーク色なウォールナットで、オーソドックスなブックシェルフ型です。奥行きがあり内部の補強等もしっかりしていて重量も結構あります。

【 仕様 】ARCAM DELTA 2(オリジナル)

周波数特性: 40Hz~20kHz (±3dB)
システムタイプ: 2-WAYバスレフ (リアバスレフ) / 18cmウーファー / 2.0cmドームツイーター
インピーダンス: 8Ω
出力音圧レベル: 89dB (1m)
定格入力: 70W
クロスオーバー周波数: 3000Hz (12dB/Oct)
筐体材質:MDF+突き板仕上げ(Walnut)
外形寸法: (幅)223×(高さ)378×(奥行)280mm  (重量)約8.5kg (1台)
※板厚(MDF+突板)18mm, フロントバッフル19mm(MDF14mm+メダイト5mm)
※公称仕様ではウーファーが18cmだが実測16cmで外径17cm
ウーファーユニット:ポリプロピレンコーン、キャストフレーム

(参考サイト)「オーディオの足跡 ~ ARCAM DELTA TWO

 製作方針(修理と改造)
エンクロージャーの主材はMDFですが、内部には防振用なのか正体不明の硬質ゴム様な黒い素材(5mm厚程度)が底板、側板、ダクト周りにボンドやステープラで接着されていました。これが経年劣化で一部欠けたり剥がれたりしていて、少しベトついて汚い。全部取り除こうと思ったのですが、ボンド付けされていて剥がしにくいので、一部の取れる部分のみ除去しました。また、バイワイヤリング用になっているターミナルも1つ壊れていましたので、いろいろ観察して改造製作の方針やネットワーク回路、必要なパーツを検討しました。なお、ウーファーが不動または出音不良なら、外径17cm程度のもので交換かなと思い、手頃なお値段から「SB Acoustics SB17MFC35-8」または「Silver Flute W17RC38-08」を検討していました。

(1)ウーファーエッジ補修とツイーター調達

  • 剥がれているウーファーのゴムエッジを接着しゴムの軟化再生処置
  • ツイーターはオリジナルと外径が同じ Visaton DT94-8 を新規調達

(2)ネットワークを作り直し

  • オリジナルのネットワーク基板を利用して新規ツイーターに合わせて回路設計
  • コイルやフィルムコンデンサ等一部は再利用し他は購入または手持ち品を利用
    【 購入または手持ち品 】
    AudioPhiler MKP 6.8uF/400V x 2, 銅箔スチコン 0.001uF/125V x 2/サンリング電子, Rubycon MPS 4.7uF/250V x 2, 巻線抵抗 1.5Ω/5W x 2, 巻線抵抗 20Ω/5W x 2, 金メッキファストン端子各種
    【 オリジナル再利用 】
    フィルムコンデンサ 4.7μF/100V x 2, 酸化金属皮膜抵抗 6.8Ω/5W x 2, コアコイル 0.87mH(実測) x 2, コアコイル 0.37mH(実測) x 2, 内部配線材

(3)エンクロージャー加工

  • バイワイヤリング用ターミナルを新規調達
  • 吸音材変更(後板にニードルフェルト、底板と側板にミクロンウール)
  • 3点支持でスパイク追加(Dayton Audio DSS2-SN/サテン色)
  • ツイーターユニットの取付ガスケット作成


ウーファーエッジの補修

ウーファーユニットの1つはエッジがポリプロピレンのコーンから完全に剥がれていました。綺麗に剥がれていてゴムエッジには損傷がなかったので、清掃してボンドで接着しました(コニシの多用途強力接着剤「SUプレミアムソフト(クリア)」を使用)。接着剤は粘度がありますので、多すぎず少なすぎずでムラなく塗れるか心配でしたが、ポリプロピレンとゴムの相性がいいのか意外と簡単で綺麗に接着できました。24時間以上経過で完全に固着しているようでした。

また、ゴムエッジを触ってみたら少し硬くなっているような気がしたので(経年製品だと疑心暗鬼です)、少し軟化できないかと思いブレーキフルードを試してみました。使用したブレーキフルードNISSAN純正品で透明なオイル。グリコールエーテル系やホウ酸エステルの混合物ですね。

平筆でゴムエッジに丁寧かつ十分に塗布しました。エッジの接着剤を溶融しないか心配しましたが、接着断面にあまり付けなければ問題ないようです。軟化したいエッジ部分からはみ出したオイルはガーゼで拭き取りました。ゴムが薄くまだ綺麗なためかダンプ材のビスコロイド滓等は目に見える程は浮き上がってきませんでしたが、はみ出し部分を拭き取ると布が黒く汚れます。数十分以上で浸透・軟化してくるようで、半日~1日経過で乾いた感じになります。触ってみるとかなり柔らかくなっていて効果を実感しました。

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ブレーキフルードは吸湿性があり、どのくらい柔軟性を維持できるのかわかりませんでしたので、ゴム製パーツ保護材「KURE CRC ラバープロテクタント」を少し吹き付けておきました。初めてのブレーキフルード処置でしたが、音出し確認では普通に低音も出てますので「まぁいいかっ?」ですな。
ブレーキフルードをゴムエッジの軟化剤に使うのは本来の用途ではありませんので利用はあくまで自己責任ですね。なお、ラバープロテクタントを吹き付けるのは、ゴムの長期保護にはなるかもしれませんが、吸湿して硬化を早めるかもしれません。やらない方がいいかもしれませんね。
 

ツイーターを調達

見たことも聴いたこともないオリジナルのツイーターは外径94mmで、表面がメダイトのフロントバッフルを5mm程ザグッって填め込むようになっています。3点のネジ固定でバッフル裏にも鬼目ナットが埋め込んであるため、このまま利用して取付穴の加工はなしで済ませたいと考えました。94mmという外径では、25mm(1インチ)径のドーム型ツイーターはほとんど嵌まりませんので、20mm程度までの同じ外径のツイーターを探しました。

先に改造した EG-50 も外径94mmのツイーターでしたので、今回は違うユニットでということで、諸元や特性グラフ等を検討して Visaton DT94-8 を第一候補に選びました。『バランスのとれた周波数応答と優れた全方向性サウンド分配。磁性流体冷却ボイスコイルによる大きな耐入力・高出力処理』とか紹介されてますな。25mm未満のドームツイーターは比較的安価なのですが、このVisatonのツイーターは在庫のある販売店がなかなか見つからず(ほとんどが取り寄せ)、やっと見つけた最後の在庫2つでした(ラッキー!)
...かどうかは以下に続く

[ Visaton DT94-8 / 20mmポリカーボネートドームツイーター ]  [ Visaton DT94-8 Datasheet ]

( 主な諸元 )  インピーダンス:8Ω, 出力音圧レベル:90dB, 電力定格:50W-70W (最大70-100W)
再生周波数:1.2kHz-22kHz, 推奨クロスオーバー:3kHz以上, 外径94mm, 奥行き19mm, 重量240g

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通販で購入したのですが、届いたツイーターをエンクロージャーにあてがってみると、ネジ位置が微妙にズレているではありませんか!(約1mm程ナット位置が外側)。「ガビーン!」「ネジが真っ直ぐ入らないぜよ!」「どうやって固定するんじゃ~!?」と独り言をいいながら、カッターと外科用メス、精密ヤスリ等をうろたえながら用意している「匠」な自分が哀れなのでした(笑)。だって届いたその日のうちに新品ツイーターを加工するのですよ。見た目も少し悪くなります。これは虚しいです。

悩んでいてもどうしようもないので、ツイーターのネジ穴を円周外側に約1mm程拡張して楕円形に整形しました。メスでザグッてヤスリで形を整えるという作業ですね。幸いフランジがエンプラで柔らかいので、思っていたより短時間で加工できました。バッフル面にはピッタリ嵌まるのですが、ネジを絞めると拡張した分ネジ穴に少し隙間ができてしまいます。ガスケットを製作して挿んでいますので、音的には問題ないのですが少々残念な結果になりました。

現状、M4(20mm)のなべ小ネジを使っていますが、ネジ穴を全て塞ぐバインド小ネジやトラス小ネジなら少しは見栄えがいいのかもしれません。しかし、手持ちの黒クロメートネジは30mmしかなく長過ぎ。ホームセンター等を探しても黒のバインドやトラスでM4(20mm)は見つかりませんでしたので、暫くはこのままとなりました(泣)。


ネットワークを作り直し

[ ネットワーク回路図 ]

クロスオーバーネットワークは、バイワイヤリング用ターミナルのセンターボルト4本を基板の入力ランドに貫通し、直にナット締めで固定する方法で取り付けられていました(後板と基板の間にもナットを挟んでスペーサー代わりにしていました)。ウーファーを外し、ターミナルと基板を固定しているナットを外すと基板を取り出せます。基板を観察してオリジナルの回路図を書き起こしましたが、ツイーターのアッテネータに使われている抵抗(片側で4本)のうち、1/4Wか1/2Wの小さな2本が焼けていて、マーク判別および抵抗値測定も不可(測定値が安定しない)でしたので大凡の値です。

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どうも前オーナーはツイーターを過大入力で飛ばしたようですね。そのためツイーターなしのエンクロージャーで出品したのでしょう。コアコイルはインダクタンス不明のため実測しました。コイルは巻き線も太めで良いものですね。まずは、電解コンデンサとツイーター側の抵抗等不要なパーツを全て基板から取り外すと共に、ハンダ修正や基板を洗浄して変更パーツを直ぐに取付けできるように前処理しました。基板を使った回路ですので、変更パーツは基板に挿してハンダ付けするだけですから簡単です。

ネットワークの設計では、オリジナルの公称インピーダンスや能率、再利用するコイルのインダクタンスを参考にして、追加するツイーターの諸元を基に 12dB/Oct(-6dBクロス) でシミュレーションしてみました。オリジナルのネットワーク基板とウーファーはそのまま使いますので、クロスオーバーのタイプは合わせました。

ウーファー側回路はコンデンサを全てフィルムに変更し、LPFのコンデンサを5.6μFから6.8μFに変えています。インピーダンス補正回路はオリジナルと同じ値です。ツイーター側回路では元々フィルムコンデンサが使われていましたので再利用し、パラで付いていた小さなフィルムコンは銅箔スチコンに変更しました。アッテネータ用には抵抗をパラで2本ずつ使えるような基板になっていましたが、5Wの巻線抵抗2つで -2dB(7.21Ω) の減衰回路としています。ARCAM DELTA 2の公称SPLは89dB、Visaton DT94-8のSPLが90dBなのですが、古いウーファーと新しいツイーターなので-2dBでいいんじゃない?という目論見です。

ウーファーは取り外すまでインピーダンスは公称と同じ8Ωと思っていたのですが、ユニットには6Ωと印字されていました。アッテネータの設計は大丈夫かなと思いましたが、ドライバーユニットの公称値はコンサバティブな場合も多いし、諸元不明なオリジナルツイーターのアッテネータ(抵抗値)では大分落としている減衰回路で参考にならないので、とりあえず-2dBで試してみました。

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結果として、今回のネットワーク回路は大正解で、低域から中高域までスムーズに繋がって、ツイーターが強すぎるとか弱すぎるとかの感じは最初からないですね(私的にはちょっと珍しい?大抵は何か気になるのです)。ウーファーの出音とうまく溶け合って、とても安定感のある出音バランスです。さわやかで柔らかな中高域は音の拡散性もよく、程よく締まった低域と相まって膨よかな音場感になっています。

再生周波数の測定では、125Hz~18kHzまでほぼフラットですが、8kHzあたりに小さなディップがあるかなといったバランスでした(自宅での測定なので参考程度です)。スピーカー前面60cm程で測定したため、低域は100Hz位からだら下がりでウーファーユニットのFsは60Hzまで伸びるのか?と思えるくらいです。背面バスレフポートで低音を増強して、なんとか公称の40Hzといっている感じですが、、ホンマでっか? バスレフポートは63mm径で207mm程の長さです。

実聴では中域の密度感もあり聴きやすく、低域と高域が強調されたドンシャリな音でもないですね。中高域に気になるピーク感がない聴き疲れしない帯域バランスです。ウーファーは公称では18cmですが、フランジを含む外径でいえば17cmが正しいように思います。

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※左写真の後板側ニードルフェルトは撮影のため半分に捲っています。右写真は内部配線材(先端加工前)

なお、内部配線に使われている線材は、細い硬質単芯コアの高純度銅線で2芯+2芯の平行ケーブルです(Audioquest F-14 Speaker Cable のようですね)。『太い線材を使用した場合に起こるスキンエフェクトからの位相の歪やマルチストランドを使用した場合のストランドジャンプによる歪を防いでいます』とか説明されていますが、「何のこっちゃ?」的に立派なものでしたので、そのまま利用しユニットとは金メッキのファストン端子で接続するように先端加工しました(端子と芯線は圧着後にハンダ付けもしています)。オリジナルはハンダ付けでユニットと配線されていました。


エンクロージャ加工

元々のターミナルは1つが折れてましたし、全体的にくすんでいましたので、同じタイプの新品を調達して全てのターミナルを取り替えました。ロングタイプのもので端子軸が35mm(全長60mm)です。エンクロージャーの板厚(18mm)+M5ナット×2で最低でも端子軸が30mm以上は必要でした。エンクロージャー自体はスパイクを取り付けるナット打ちの穴開け(φ8mm)程度の加工です。スパイクは先の製作同様3点支持です。この辺は慣れた作業ですので、簡単に30分程度でサクッと完了なのです。

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先に書いたように、エンクロージャー内部には正体不明の硬質ゴム様な黒い素材が貼り付けてあり、フロントバッフルにも振動吸収メダイトがMDFの上に貼られていますので、箱鳴りは極力抑えて端正な響きになるような設計方針だったのでしょうか。イギリスのスピーカーだと箱を鳴らして響きを調整するようなスピーカーも多いと思うのですが、この辺は各社各様なのでしょう。

このスピーカーのエンクロージャー背面には用途不明な穴が空いていて、黒キャップで塞がれていました。ネットワークの組み付けに利用するのか、調整用のエアー抜きなのか、スタンドの固定とかに使うには位置が変ですし、何のためにあるのか不思議な穴です。

さて、吸音材なのですが、正体不明の硬質ゴム様な黒い素材を一部剥がしていますので、底板、側板にミクロンウール、後板にネットワーク基板を隠すようにニードルフェルトを入れてみました。オリジナルの吸音材はスポンジらしく、3cm厚程度の大きな古いものが底面から背面にかけて1枚入っていました。また、サーモウールのようなものもウーファー周りに入っていましたが、これは前オーナーが追加で入れたものかもしれません。古い吸音材は全て廃棄ですな。ついでに小さな虫(ゴキちゃんのチビ?)の死骸も入ってました~ぐゎ!

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※サランネットはフロントバッフルのメダイト板との隙間に挟んで固定する方式

天面以外には何かしらの吸音材が入っていますが、出来上がりはとても端正で柔らかい響きになりました。雑味がない滑らかな音質なので、クラシック等のオーケストラを聴いても和音や倍音が綺麗に澄み切って響き、バイオリン等のストリングスも美しく聞こえます。


修理&改造の音 ~まさに匠と言えなくもないかもしれない製作ですな!(笑

出音は既に少し書いているとおり、端正で雑味がなく刺激的で耳障りな音が出ない柔らかな中高域が印象的です。今回使った Visaton DT94-8 は、ポリカーボネートドームのせいか滑らかで優しい音色に感じます。また、音の拡散性が良いため音場の広がりがあり、その中で音楽に包まれる心地よさがありますね。それでいて解像感や伸びやかさもあり細かい音もよく出てきます。お安いツイーターですがいい音です。

オリジナルのウーファーは特別に量感豊富な低音が出るわけではありませんが、適度に締まって反応のよい低中音が出ますし、バスレフ効果もあり低域の不足は感じません。エッジの軟化処理が効いているのか、古いですがさほど劣化してない感じです。安定感のある出音バランスでツイーターとの相性もいいように思いました。

今まで試聴も含めて聴いたことがあるブックシェルフサイズのスピーカーでは、ここまで(好みの)いい音と思ったものは他にあまりないかもしれません。サイズ以上の音場感で、ボーカルも前に出て艶やかで魅力的に聞こえますね。久しぶりに聴いた「手嶌葵 - Calling You」や「Julian Kuchocki - Send In The Clowns」にゾクゾクしました。

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先に修理・改造した2つのスピーカーは出音の感じが対照的でしたが、今回のスピーカーはその中間的な印象で、音質も素晴らしく最も気に入ったスピーカーになりました。溌剌・広帯域・高解像な現代的?な音でもなく、マッタリしっとりのブリティッシュサウンド風でもなく、雑味のない端正な出音ながらモニター的でもない、聴いていて心地よい音場感を創り出します。ネットワークやツイーターのエージングで音がどう変わってくるか楽しみです。

試聴は先に製作の (AD812+TPA6120)アンプ(ラインプリ)を通して、ステレオシングルおよびバイアンプで聴いてみましたが、やはりバイアンプの音の方が良いと感じます。特に前作のTDA7498を使ったパワーアンプでのバイアンプ&バイワイヤリング駆動では、繊細で柔らかな中高音の伸びやかさが気持ちよく、低音も不足なく出てきますので、とても相性が良いように感じました。比べてみると CLASSIC PRO CP400 のバイアンプ&バイワイヤリングでは、低域の量感や迫力があり悪くないのですが、中高域の分離感と伸びやかさで少し硬い音質に感じます。デジタルアンプ(Class-Dですが)侮り難しですね。

今回の製作では、ツイーターの取付で少々残念なところもありましたが、出来上がりはさほどアラが目立たないし音は素晴らしいしで、正月早々「目出度し、目出度し」なのでした(笑)。