(スイッチング電源&バイアンプ試験)2019年9月製作(完成)~備忘録~
アンプICを使ったお安いステレオパワーアンプ2台で、バイアンプやBTL駆動を試してみようと、アンプ用のDC電源ボックスを製作しました。元々DC24V/6.3A(150W)でフィルターも内蔵させたスイッチング電源ボックスを製作していたのですが、2台のパワーアンプを駆動するために、スイッチング電源基板を追加してTWINタイプに電源BOXを改造。元々内蔵させていたDC電源フィルターを別筐体に独立させて分離しました。また、プリアンプとパワーアンプを接続するためのケーブルも製作してみました。このケーブルは、バイアンプ&バイワイヤリング用またはBTL接続にも使える様にするため、バイアンプ用の変換アタッチメント部分を分けた2種類のケーブルになりました。(ん~何のこっちゃ?)
元々のスイッチング電源ボックス
スイッチング電源は、TDK-LAMBDA の"ZWS150BAF-24"という製品で、DC24V/6.3A 出力の基板タイプです。ここから4系統の出力を引き出し、DC電源フィルターを通して外部機器に接続する構成です。電源基板自体はメーカー製品で信頼性のあるものですから、フィルター製作がメインでして、詰め合わせてケーシングしたわけです。4系統出力のうちの1系統は可変電圧出力として9~15VDCでの利用を想定しています。
DC電源フィルター回路
スイッチング電源基板(ZWS150BAF-24)にもフィルターは内蔵されているのですが、より綺麗な電力供給を目指して別途フィルター回路を通しています。4系統のフィルター回路があり、1系統は6A出力でコイルなしのほぼ電源出力のまま。1系統は可変電圧出力で最大1A供給。LM338+TPS7A4700の2段階レギュレータ方式で、前段にコモンモードチョークも入れてますので、スイッチング電源とはいえ良質な電力になっています。残り2系統は同じ回路で5Aの供給ラインです。この系統ではHKコイルを使って高周波スイッチングノイズを除去し、さらにコイルによってノーマルモードノイズを除去しています。ノーマルモードノイズについては、インダクタンスが若干小さくコイルの効きが今ひとつかもしれませんが、HKコイルの性能はいいですね。EMIフィルターは全ての系統に入っています。
TWIN電源+外部フィルタに改造
[ 電源BOX構成 ] [ フィルター回路図 ] [ レイアウトイメージ ]
2台のパワーアンプに24VDCでそれなりの電流を供給するために、同じスイッチング電源基板を新たに調達し、電源ボックスからフィルター基板を外して、TWIN電源基板に改造しました。DC電源フィルターが4系統の回路を持っていますので、同じく4系統の出力を引き出しました。このままでも DC24V/6.3A×2 で使えます。DCジャックですが、3系統は2.5mmで1系統のみ2.1mm(可変電源想定)のジャックにしています。内部配線材には10A以上流せるものを使っていますが、一般的なDCジャックが大電流では怪しそうですね。
追記
DCジャックを6~7.5A/48Vの大電流対応のものと交換しました。パネルマウント型は国内の販売店では見つからなかったので、Tensility International製のものをDigiKeyで購入しました。また、DCプラグも5A/24V対応のCUI Devices製のものに交換しました。
元々の電源ボックスではフロントパネル中央に電源スイッチを付けていたのですが、TWINタイプ改造では電源基盤それぞれでON/OFFできるように、電源スイッチを2つに分けました。そのためフロントパネル中央に意味のないφ16mmの穴ができてしまい、"トカゲさん"のシールで隠したのでした(笑)。
取り外したフィルタ基盤は"TAKACHI CU-21N"を使い、基板サイズが同じなので2階建てで組み込みました。このフィルター回路には逆接防止のショットキーバリアダイオードを組み込んでありますので、接続は方向性があります。また負荷によりダイオードの順方向電圧やコイルの直流抵抗による若干の電圧降下があります。スイッチング電源ボックスとフィルターボックス、およびパワーアンプを接続する短いDCケーブルも作成しました。約30cmで8本です。ケーブルはやや太目で5A保証らしいのですが10Aクラスの電線にすべきでした。
なお、電源ボックスに使ったアルミケースですが、フロントパネルのアルミが8mmの厚さです。電源スイッチの取り付け穴径が約19.5mmでして、どうやってこんな大きな穴を空けようかと思っていたのですが、真空管アンプのシャーシ加工に使おうかと15年程ほど前に購入した未使用の超硬ホールソーが丁度ありました。スウェーデン製で15/18/20mmと揃っていたので、18mmを使ってみると表裏から削って簡単綺麗に穴あけできました。若干小さく空けているのでテーパーリーマーで少し拡張したらすんなりスイッチを取り付けできたのでした。\(^o^)/
バイアンプ&BTLケーブル製作
[ ケーブル構成図 ] [ バイアンプ&BTL接続図 ]
前作の「ヘッドホンアンプ/ラインアンプ」の出力端子は、キャノン(XLR)とRCAの2系統あるのですが、パワーアンプはお安いものですとRCAジャックの入力しかありませんので、その前提で変換ケーブルを製作しています。バイアンプ+バイワイヤリング接続するには、ステレオ左右で2台のパワーアンプにそれぞれ信号を2分配すればいいので、変換アタッチメントケーブルを25cm程で作成しました。この変換ケーブルはXLR(F)→RCAでバランス→シングル変換(HOT/GND)にも使えます。
また、XLR(F)→XLR(M)+RCA(x2)のRCAプラグでHOT/COLDを分配したケーブルを2.5mで作成しました。RCAプラグ側は手持ちの市販ケーブルをカットして利用。このケーブルもまた、XLR(F)→RCA(HOT/GND)でバランス→シングル変換に使えますし、XLRのキャノンプラグ同士なら通常のバランスケーブルとしても使えます。
この2種類のケーブルがあればRCAジャックが入力端子のステレオパワーアンプなら、バイアンプ+バイワイヤリングまたはBTL接続(シングルワイヤ)も条件によって可能なわけです。最後に、バイワイヤリングでスピーカーケーブルが4本(±8端子分)必要なので、"CANARE 4S6G"を使い3m程で4本作成し、端子はバナナプラグにしました。これだけケーブルを作ると疲れます。
実際に繋いでみると...
バイアンプ用の変換アタッチメントはXLRとRCAの2種類出していますので、ラインアンプ側のXLRとRCA端子の2系統で、バランス出力(XLR)とシングルエンド出力(RCA)で聴き比べました。ただし、バランス出力を選択するとHOTとGNDしか使わない簡易シングルエンド変換になります。シングルエンド出力を選択すると INA2134 で変換した出力になります。パワーアンプは TPA3116×2 の中華製アンプで 100W×2 の出力のものが2台です(お安いので勢いで買っちゃいました!)。このパワーアンプは、プリアンプ部にソケットでオペアンプが使われていたので、元々のNE5532からOPA637(x2)に取り替えてあります。2-WAYのスピーカーとは左右別のパワーアンプ毎にバイワイヤリング接続です。
出音ですが INA2134 で変換したシングルエンド出力の方が良いように思います(アンバランス入力のパワーアンプですからね)。バランス出力からの接続では、COLD信号を使わないので出力が-6dBになるのですが、ボリュームを上げても音の太さが同じにはならないような感じです。ただ音の分離や分解、響きの良さはあまり変わらないようです。若干の音の違いはバランス増幅のままの端正なクリアさによるものでしょうか。音のパンチ力というか押し出し感に少し差があります。
いずれにしても、シングルワイヤでの接続よりも低域のレスポンスや締まりもよく、中高域の音の輪郭がくっきりしてクリアながら音場も綺麗に広がる感じがします。お安いパワーアンプながらいい音です。ただパワーアンプの出力が大きすぎました。バイアンプなら100W×2もいらなかったですね。
続いて(調子にのって)BTL接続を試したのですが、パワーアンプの電源を入れた途端にノイズが出ました。「ありゃりゃ!?」ってなもので直ぐに電源を切ったのですが、「何でやねん?」と少し考えて接続を確認しました。接続やケーブルには問題ないので、パワーアンプのスピーカー出力をチェックしました。
すると出力端子のCOLD(-)側がGNDに落ちてません!
「フローティングになってんの?」「アンプIC使うとこうだっけ?」「そうかぁ、ブリッジなのね...」「何を寝ぼけてたんだか!」「以前製作したTA2020アンプの回路ってどうだったかな?」とか独り言が勝手に出てきて ...撃沈!(´;ω;`)
結局ですね、、、
ちゃんとしたというかプロ用のキャノン入力端子もあるパワーアンプを使えば良かったのですよ。それならBTL切り替えスイッチなんかも付いてたりしますしね。実験兼用なら中古でもいいのですよ...CROWN, THOMANN, SONY, YAMAHA, TOA他いろいろありますよね。